不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました
そのせいで、その日のうちに城に一室用意されて、次の日にはソフィアの存在は第二王女というありがたくもない付属語とともにグラストーナ国中に知れ渡ることとなったのである。

しかし、ソフィアの人生はそこから順風満帆に、とはいかなかった。

ソフィアの母リゼルテは、王妃の元侍女だったそうだが、国王と恋仲になったそうだ。

そんな状況に王妃その人がいい感情を抱くはずもなく、リゼルテは城から追い出されて、ひっそりとソフィアを産み落としたのである。

そのソフィアを、王妃が歓迎するはずもない。

その結果、国王に与えられたソフィアの部屋は取り上げられなかったものの、ソフィアにつけられた侍女や護衛は王妃によって次々と解雇された。

残ったのは長年王族の護衛をしている一族で、年が同じであるのをいいことに護衛兼話し相手としてソフィアのそばにつかされたオリオンただひとりのみ。

「……まさか、オリオンが由紀奈だったなんて」

「それを言うなら、ソフィアがあんただったとは思わなかったわ。あ、ついさっき記憶を取り戻したんだっけ? ぷっ、ウケる」

「笑い事じゃないでしょ!!」

ソフィアはソファの上のクッションを、オリオンに向かって投げつけた。

けれどもさすが護衛官。ひょいと軽々かわしてくれるから腹が立つ。

(そういえばこいつ、もともと運動神経めちゃめちゃいいんだったわ。陸上部と剣道部兼部だったし。転生してもそのあたり変わってないのね)

むしろ、王女の護衛官として取り立てられるほどに腕が上がっている。

あきれる限りだ。

< 22 / 37 >

この作品をシェア

pagetop