不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました
(ソフィア・グラストーナ。『グラストーナの雪』の悪役令嬢……)
なぜだ、と叫びたい。
あんなにも愛して、全キャラ攻略、スチルも完全制覇、攻略本、設定資料集まで読破した『グラストーナの雪』なのに、どうして転生する先がヒロインではなく悪役令嬢なのか。
ゲームの中のソフィアは十四歳まで市井で暮らし、母の死後、国王に引き取られて城で暮らすようになるが、城での生活になじめず次第に性格がひねくれていく。
そして、異母姉であるキーラを強く恨み、キーラを陥れようと画策するようになるのだ。
ゲームのプレイヤーだったときはなんとも思わなかったけれど、実際にソフィアになってみると、実にふざけていると思う。
(そりゃあね! 毎日毎日いじめられてりゃ、性格もひねくれるでしょうよ!)
妾腹でいじめられて育つソフィアが悪役令嬢で、何不自由なくキャッキャウフフと生活し、ソフィアをいじめて楽しんでいるキーラがヒロイン。
シンデレラとは真逆ですか!?
普通、虐げられている方が主人公でしょうよ!
もちろん、ヒロインがいじめをしていましたなんてブラックな設定はゲームの中にも設定資料集の中にもこれっぽっちも登場しないが、この三か月、ソフィアは散々な目にあってきたのだ。
ソフィアがひねくれて悪役令嬢になる一端を知った。ひどすぎる。
「しっかしまー……、ソフィアか。あんた、前世でなにか悪いことでもしたの?」