不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました
「悪いことって、徹夜でゲームして学校に遅刻したとかその程度しか記憶にないわ! そんなことより、あんたも大概じゃないの! 悪役令嬢の護衛とか、道連れになるのが目に見えてるでしょうに。しかも……ずいぶんと外見が変わったわね」
オリオンというモブキャラはゲームには登場しないが、悪役令嬢と親しかった人間は憂き目にあうに決まっている。それがわかっているのにどうして逃げないでそばに仕えているのだろう。
運動神経抜群の由紀奈は、剣道で県大会優勝を果たしたとは思えないほどに可愛らしい容姿をしていた。
正統派美少女という呼び名がふさわしい顔立ちだったのである。
それなのに、目の前にいるオリオンは、セミロングの黒髪に切れ長の双眸で、確かに整った顔立ちをしているが、一見すると色白の男にしか見えない男性的な顔立ちだ。
あの可愛さはどこへ消えた。
「んなもん、適当なところで見切りをつけて逃げるつもりだったわよ。ゲームがはじまるまではオープニング前のリアルな『グラストーナの雪』を楽しむつもりだったけど。だいたい、顔でいうならあんたもでしょ。えらい美人に生まれ変わって……ぷっ、よかったじゃないの」
「いいわけあるか!」
ソフィアはぐったりとソファに横になった。
「はー……、いいわね、あんたはオリオンで」
「あんたは災難ね、ソフィアで」
他人事のように言うオリオンに、ソフィアはイラッとした。
「災難なんて言葉で片付けないでよ! このままだったらわたし、破滅ルートまっしぐらよ!」
「ご愁傷様。あー、でも、よかったじゃない、リアルなランドールが見れて」
オリオンというモブキャラはゲームには登場しないが、悪役令嬢と親しかった人間は憂き目にあうに決まっている。それがわかっているのにどうして逃げないでそばに仕えているのだろう。
運動神経抜群の由紀奈は、剣道で県大会優勝を果たしたとは思えないほどに可愛らしい容姿をしていた。
正統派美少女という呼び名がふさわしい顔立ちだったのである。
それなのに、目の前にいるオリオンは、セミロングの黒髪に切れ長の双眸で、確かに整った顔立ちをしているが、一見すると色白の男にしか見えない男性的な顔立ちだ。
あの可愛さはどこへ消えた。
「んなもん、適当なところで見切りをつけて逃げるつもりだったわよ。ゲームがはじまるまではオープニング前のリアルな『グラストーナの雪』を楽しむつもりだったけど。だいたい、顔でいうならあんたもでしょ。えらい美人に生まれ変わって……ぷっ、よかったじゃないの」
「いいわけあるか!」
ソフィアはぐったりとソファに横になった。
「はー……、いいわね、あんたはオリオンで」
「あんたは災難ね、ソフィアで」
他人事のように言うオリオンに、ソフィアはイラッとした。
「災難なんて言葉で片付けないでよ! このままだったらわたし、破滅ルートまっしぐらよ!」
「ご愁傷様。あー、でも、よかったじゃない、リアルなランドールが見れて」