アンドロイド・ニューワールドⅡ
さて、喫茶店に到着しました。

「ここですね。えぇと…『メイド・執事喫茶』。変わった名前ですね」

と、私は教室の外に掲げてある看板を見ながら、言いました。

そんな名前の喫茶店があったとは。

珍しいですね。

「…え?嘘。メイド…?え?俺はてっきり、普通の喫茶店だとばかり」

と、奏さんは急激に焦りを見せながら言いました。

何か不思議なものでも見えたのでしょうか。

何はともあれ、入ってみなければ分かりません。

「では行きましょうか、奏さん」

「ちょ、ちょっと待って。メイド喫茶なんて聞いてない。執事喫茶も聞いてない!ま、まさか、」

「こんにちは。お邪魔します」

「瑠璃華さん、お願いだから少しは躊躇しよう!?」

と、奏さんは喚いていましたが。

私は車椅子を押して、喫茶店に入店しました。

すると。

「お帰りなさいませ、ご主人様!」

「お帰りなさいませ、お嬢様!」

と、喫茶店の店員さんは言いました。
 
やはり、この学園の生徒達は、よく挨拶をしてくれますね。

しかも、とても元気で明るい挨拶です。

何だか独特な挨拶だったような気がしますが、それは些末な問題ですね。

「お席にどうぞ、ご主人様。お嬢様」

と、店員さんは笑顔で言いました。

ご主人様とお嬢様とは、誰のことでしょうか。

私達を見ながら言っているので、私達のことなのでしょうか。

何故、私と奏さんが、ご主人様とお嬢様なのかは不明ですが。

しかし、呼称などどうでも良いことですね。

それよりも、このお店の雰囲気。

明るくて華やかで、とても素敵だと思います。

店員さんが、何故かひらひらのエプロン付きスカートを身に着けていたり、タキシード風の衣装を着ているのが、目に付きますが。

これも独特で、目を惹くデザインで、良いアイデアだと思います。

「メニューをどうぞ」

と、店員さんは言いながら、ラミネート加工されたメニュー表を差し出してくれました。

なんと。手が込んでいますね。

私達が昨日開いた喫茶店のメニュー表は、ただ画用紙に直接書いて、半分に折り曲げただけのものでした。

ここでも、格の違いを感じます。

「奏さん、何を注文しましょうか?」

と、私は聞きました。

しかし。

「…」

と、奏さんは無言で、天を仰いでいます。

大丈夫でしょうか。

「奏さん?どうしましたか?」

「…いいや。メイド喫茶に、何の躊躇いもなく入店して、当たり前のような顔をしてる瑠璃華さんの、その度胸に感心してただけだよ…」

「…?」

と、私は首を傾げました。

理解不能です。

喫茶店に入店するのに、何を躊躇することがあるのでしょう。

もしかしたら奏さんには、私には見えない、不思議なものが見えたのかもしれません。
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