アンドロイド・ニューワールドⅡ
更に。

「お待たせしました、お嬢様」

と、男子生徒の店員さんは、私の前にオムライスを置きました。

「あつあつふわとろ♡オムライスと、萌え萌え♡バニラフロートになります」

「ありがとうございます。苦しゅうない」

「無料で、オムライスにケチャップで文字を書くことが出来ます。何かリクエストはありますか?」

と、店員さんは尋ねました。

ほう。そのようなサービスを行っているのですか。

さすが、芸が細かいですね。

「来た。メイド喫茶恒例イベント…。瑠璃華さんも、少しは恥ずかしい思いをすれば良いんだ…」

と、何故か奏さんは、黒い笑みで言いました。

初めて見ましたよ。奏さんのそのような顔は。

何を恥ずかしいことがあるのでしょう。

「そうですね、何を書いても良いのですか?」

「難しい漢字でなければ。それと、長文でなければ大丈夫ですよ」

と、店員さんの執事は答えました。

そうですか。ケチャップで文字を書いてくれるとは、粋なサービスですね。

何と書いてもらいましょう。

「アンドロイド」…は安直ですかね。

人間が「ヒューマン」と書いてもらうのと同じですからね。

では、「アンドロイド」以外で…アンドロイド成分を感じさせる言葉…。

…よし、決めました。

「では、『地球侵略』でお願いします」

「ぶふっ」

「ぶはっ」

と、執事さんと、奏さんは噴き出しました。

大丈夫でしょうか。

何かあったのでしょうか。

「難しいですか?」

「え、えぇと…ち、地球侵略…ですか。ちょっと、漢字が…」

「『地球征服』でも良いですよ」
 
「何なの?その危険な二択…」

と、奏さんは呟きました。

危険ですか?

アンドロイドらしくて良いのでは?

「え、えぇと…。文字、潰れるかもしれませんけど…。書くだけ、書いてみますね」

と、執事さんは言いました。

「分かりました。お願いします」

「はい…少々お待ち下さい、お嬢様」

と、執事さんは言いました。

そして、真剣な眼差しをして、ケチャップで文字を動かし始めました。

結果。

「ど、どうでしょうか」

「綺麗に書けてますよ。ありがとうございます」

「よ、良かったです」

と、執事さんは微笑んで言いました。

素晴らしいサービス精神です。

ちょっと「侵略」の字が潰れていますが、何とか読める範囲です。

「それでは、ごゆっくりお過ごしください」

と、執事さんは深々とお辞儀して言いました。
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