アンドロイド・ニューワールドⅡ
…。

…大丈夫でしょうか。

色々と。

まず、一番に声をかけるべきなのは。

「奏さん。どうかされました?」

「はーっ、はーっ、はーっ…」

と、奏さんは、必死に酸素を求めていました。

目が白黒しています。

本当に大丈夫でしょうか。

「除細動器…は必要ありませんね。まだ止まっていませんから。では、心臓マッサージを…」

「い、要らな…。はぁ、はぁ…要らない…」

と、奏さんはかろうじて答えました。

そうですか。心臓マッサージは必要ありませんか。

「では、せめて人工呼吸を」

「いやいやいや!はぶっ、こんっ、こんな場所でじんっ…。…じゃなくて、別に息止まってないから!」

と、奏さんは大声で叫びました。

そうですか。それなら良かったです。

奏さんの無事が確認出来ましたので、次に。

「何をされているのですか?…碧衣さん」

と、私は目の前の碧衣さんに、そう聞きました。

彼は、この宇宙人お化け屋敷を主催するクラスに所属しているので、この場にいるのは不思議ではないのですが。

私が聞いているのは、彼の現在の格好です。

全身銀色のタイツのようなものを身に着け、頭に角の折れたカチューシャをつけ。

全身の関節を外して、床に這いつくばって痙攣していました。

…何かのパフォーマンスでしょうか?

「ん?その声…瑠璃華さんじゃないですか」

と、不気味な格好をした碧衣さんは言いました。

ようやく宇宙人に会える、と思いましたら。

出てきたのは、碧衣さんでした。

彼は人間ではありませんが、宇宙人でもないので、結局宇宙人には会えていませんね。

「来てくれてたんですね。どうもありがとうございます」

と、関節を外した格好のまま、碧衣さんは言いました。

「はい。ところで碧衣さんは、そこで何をしているのですか?」

「見ての通り、僕今日、お化け役なんですよ」

と、碧衣さんは答えました。

成程、そういうことだったのですね。

道理で、奇天烈な格好をしていると思いました。

「試しにクラスメイトの前でこの格好してみたら、大盛況でして」

「そうでしたか」

「ほら、僕達アンドロイドだから、関節外しても痛くないでしょう?」

「そうですね」

と、私は言いました。

やれと言われれば、私も同じことが出来ます。

痛覚を遮断していれば、全く痛みは感じません。

「人間目線からしたら、凄く不気味に見えるらしいんですよ。そんな訳で、僕がお化け役です」

「成程、そうだったのですね」

「それに、この宇宙人お化け屋敷…発案者は僕なんです」

と、碧衣さんはカミングアウトしました。

そういうことだったのですね。
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