アンドロイド・ニューワールドⅡ
「成程、さすが碧衣さん。よく考えましたね」

「でしょう?宇宙人がお化けになったら、面白いかな〜と思いまして」

と、碧衣さんは照れ臭そうに言いました。

全身の関節を外したまま、ですが。

「…二人して、発想が宇宙人…。似た者同士…」

と、放心状態の奏さんは、何やら呟いていました。

似た者同士?誰と誰がでしょう?

「しかし、碧衣さんは関節を外して、コスチュームプレイをしているだけです。本物の宇宙人のお化けではありません」

「えぇ、そうですね」

「それで、怖がる人はいるのですか?」

と、私は尋ねました。

確かに、一見するとインパクトのある格好かもしれませんが。

冷静に見たら、全身銀色のタイツを着て、関節を外しただけの格好です。

特に怖がる要素があるとは思えないのですが。

しかし。

「いえ、これが意外と…今のところ、好評なんですよ」

と、碧衣さんは言いました。

「そうなのですか?」

「はい。今のところ、63人やって来て、62人が悲鳴をあげています。卒倒してる人も6名ほどいました」

「残る一人は?」

「あなたです。瑠璃華さん」

と、碧衣さんは言いました。

成程。悲鳴をあげなかったのは、私だけなのですか。

皆さん、意外と怖がりなのですね。

「うふふ、瑠璃華さん。ここだけの話、紺奈局長もですね、来てくれたんですよ」

と、碧衣さんは、にまにまとしながら言いました。

「紺奈局長も、ここに来ていたのですね」

「えぇ。僕に会いに来てくれたんです!」

と、碧衣さんはとても良い笑顔で言いました。

銀色のタイツを着ていますが。

「紺奈局長も、僕を見てちょっとびびってたんですよ。軽く声出して。うふふふふ。思い出しただけで可愛い。うふふふ」

と、碧衣さんは言いました。

とても嬉しそうですね。

どんな姿でも、紺奈局長に見てもらえるのは、碧衣さんにとって嬉しいことなのかもしれません。

…微笑ましいですね。

「校舎を一回りするって言ってましたから、もしこの後紺奈局長に会ったら、僕が『愛してる』って言っていたと伝えてください」

「分かりました。もし紺奈局長に会ったら、伝えておきます。お化け役…頑張ってくださいね」

「はい。…おっと、そろそろ次のカモが来ましたね。スタンバイしておこうっと…」

と、碧衣さんはまた床に這いつくばって、次のお客さんを驚かせる準備をしていました。

お化け役も、大変ですね。

私はせめて、碧衣さんの邪魔をしないよう。

早いところ、出口に向かいましょう。
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