アンドロイド・ニューワールドⅡ
「良かったですね、紺奈局長」

「…そんな、微笑ましそうに言うな」

と、紺奈局長は、声を絞り出すようにして言いました。

何か気になることでもあったのでしょうか。

微笑ましいことでは?

仲良きことは美しきことです。

「あいつは…校内でそんなことを言って、周囲のクラスメイトにもし聞かれたら、どうするつもりなんだ」

と、紺奈局長は言いました。

どうする、とは…?

「何か問題があるのですか?」

「お前も知っているだろう、1027番。1110番は、この学校に…所属しているクラスに、恋人関係の女性がいるんだ」

と、紺奈局長は言いました。

そういえばそうでしたね。

同じクラスに、彼女がいるのだと言っていました。

「えっ。あの人恋人が…。じゃあ…もしかして、二股…?」

と、奏さんはぎょっとしたように聞きました。

二股。

世間では、二人の相手と恋人関係結ぶことを、二股と呼びます。

浮気、不倫、横恋慕…様々な言い方があります。

これだけ同じ意味示す言葉が、多く存在するということは。

きっと人間は、本能的に浮気心を胸の内に秘めているのでしょう。

「…二股ではない。自分は、1110番と恋人関係にはない。ただの製造者と、製造物の関係だ」

と、紺奈局長は苦々しく言いました。

「え、え?でも、あんなにくっついて…いかにも妖しい雰囲気を出していたのに…」

「それは1110番が、勝手にそうしているだけだ。自分の意志ではない」

と、あくまで断言する紺奈局長ですが。

大丈夫です。

「奏さん。紺奈局長はとても恥ずかしがり屋で、照れ屋なので、他人に碧衣さんとの関係を聞かれると、いつもそう答えるのです」

と、私は奏さんに教えてあげました。

以前、碧衣さんがそう言っていました。

紺奈局長は、とてもシャイなのだと。

だから、他人に碧衣さんとの関係を聞かれると、つい否定しまうのだと。

だけど心の中では、碧衣さんに対する愛が溢れているそうです。

難しいですが、しかし微笑ましい関係ですね。

「あ、そ、そうなんだ…」

「ちょっと待て1027番。勝手に話を捏造するな」

「大丈夫です。いかなるときでも、二人は相思相愛なのだと、碧衣さんが言っていました」

「あいつの言うことを、鵜呑みにするんじゃない」

と、紺奈局長は必死に否定していました。

やはり、碧衣さんの言う通りですね。

紺奈局長は、とてもシャイな人のようです。

「…そっか…。何だか色々と…大変ですね」

と、奏さんは、何処か達観したように言いました。

…大丈夫でしょうか?
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