アンドロイド・ニューワールドⅡ
「…」

と、これ以上否定出来なくなった紺奈局長は、しばし無言になり。

そして、深々と溜め息をつきました。

「紺奈局長の溜め息って、官能的で素敵」と、以前碧衣さんが言っていましたね。

私には、特に官能的には見えないのですが。

そんなことを言ったら、碧衣さんから攻撃を受けますね。

「先程お化け屋敷を出た後、女子生徒にアンケートを求められなかったか?」

と、紺奈局長は聞きました。

アンケート?

「はい、アンケート調査を頼まれましたね」

「そのとき、髪の長い女子生徒に会っただろう」

「はい」

と、私は思い出しながら言いました。

髪の長い、清楚な印象の女子生徒でしたね。

「あれが、1110番の恋人だ」

と、紺奈局長は言いました。

…そうなのですか。

この突然の情報に、奏さんは目を丸くしていました。

「あ、あの人が彼女…?あんな美少女が…?」

「ちなみに、成績も学年で二番目らしい」

と、紺奈局長は教えて下さいました。

「一番ではないのですね」

「一番は1110番だからな」

「成程、そういうことですか」

と、私は言いました。

『新世界アンドロイド』の知識量ならば、いかに県内随一の進学校と言えど、学年首位はそれほど難しくありません。

そして、あの女子生徒が二番目の成績を誇っていると。

つまり彼女が、人間の中では学年首位なのですね。

学年で、成績一番と二番が恋人同士に…。

それはお似合いの恋人同士ですね。

とはいえ、碧衣さんは何も、本気でその方と付き合っている訳ではありません。

「確か碧衣さんは、『人間交流プログラム』を円滑に進めることと、紺奈局長の考案した『人間交流プログラム』に成果を見出す為に、彼女とお付き合いしているのでしたね」

「その通りだ」

と、紺奈局長は言いました。

つまり碧衣さんは、恋愛感情を持って人間と恋人になった訳ではないのです。

ただ「人間の恋人を作った」という事実があれば、自分の、ひいては紺奈局長の評価が上がるから、と。

結局のところ、碧衣さんは全てにおいて、紺奈局長の為に行動しているのです。

「あんな綺麗な…しかも賢い人と、付き合ってるフリをしてるってこと…?それは大罪人だね…」

と、奏さんは呟きました。

つまり、あの女子生徒を騙しているということですからね。

ある意味で、紺奈局長に対しては、非常に一途だと言えなくもないのですが。

「あの女子生徒に申し訳ない。まさか、本当のことを言う訳にもいかない」

と、紺奈局長は困ったように言いました。

本当のこと…。

つまり、碧衣さんはあの女子生徒に、何の恋愛感情もないという事実ですね。

何も知らない女子生徒に、そのような事実を伝えるのは…。

…非常に、残酷なものがあると推測します。
< 239 / 467 >

この作品をシェア

pagetop