アンドロイド・ニューワールドⅡ
「話がよく見えないのですが、詳しく話してもらっても良いでしょうか?」

と、私は聞きました。

すると。

「はい。私は紺奈局長の考案した、この『人間交流プログラム』の概要について、橙乃局長から伺ったときから、ずっとこのプログラムに参加したいと思っていました」

と、2017番は言いました。

自ら参加希望とは。勉強熱心ですね。

私も碧衣さんも、ただ局長に選ばれたから、『人間交流プログラム』に参加したのですが。

彼女の場合、半ば志願のようなものだったのですね。

「何故なら、私は優秀な『新世界アンドロイド』だからです。先にプログラムを遂行している、1110番と1027番よりも、必ずや、輝かしい成果をあげてみせます」

と、2017番は言いました。

とても勇ましい宣言です。

既に『人間交流プログラム』を半年も経験している、私や碧衣さんよりも、優秀な成果をあげるとは。

さすが、優秀であると自称するだけのことはあります。

「そうですか。頑張ってくださいね」

と、私は言ったのですが。

「そこで、私にとって越えるべき壁となるのがあなた。1027番です」

と、2017番は言いました。

…私が壁?

「何故私なのですか?碧衣さんは越えなくて良いのですか」

「はい。その必要はありません。1110番は、私にとって越えるべき壁でも、目標でもありません」

と、2017番はきっぱりと言い切りました。

「え?僕の扱い酷くありません?」

と、碧衣さんは首を傾げました。

しかし、2017番は構わずに話し続けます。

「まず前提として、私は既に、あらゆる点で1110番を上回っています」

と、2017番は断言しました。

…。

…そうなのですか?

特別、2017番が碧衣さんを上回っているようには、全然見えないのですが。

「そうですか?私達は同じ、Sクラスの『新世界アンドロイド』です。『新世界アンドロイド』の基本設計は、『Neo Sanctus Floralia』共通のものです。局は違えど、性能面で大した差はないと思いますが」

と、私は意見しました。

しかし。

「同じ設計図で造った製造品でも、個体によって、少なからず差はあります。橙乃局長がそう仰っていました」

「そうですか」

「そして、その個体差によって、私は既に1110番を越えています」

と、2017番は言い切りました。

…一体、何処からそのような自信が来るのでしょう?
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