アンドロイド・ニューワールドⅡ
「こんばんは、碧衣さん。紺奈局長」

と、私はお二人に声をかけました。

すると。

「あぁ…。第4局の1027番か。お前も、ここに来た、」

「はい局長。りんご飴どうぞっ」 

「ぶはっ」

と、紺奈局長は、碧衣さんにりんご飴を口の中に押し込まれていました。

「美味しいですか?」

「おい、おい…しいも何も、りんご飴なのに、飴の部分がないんだが?」

「あ、はい僕が舐めましたから。局長はりんごの部分をどうぞ!間接キスですね!」

「…」

と、紺奈局長は無言で、ぐるぐると視線を彷徨わせていました。

一方の碧衣さんは、とても良い笑顔です。

「相変わらず、仲が良さそうで何よりです」

「でしょう!?僕と局長は相思相愛ですから」

と、碧衣さんは目を輝かせて言いました。

すると。

「え、えー…と…。この人達は…瑠璃華さんの…お、お知り合い?」

と、奏さんが、おずおずと口を挟みました。

非常に戸惑った様子ですが、何かあったのでしょうか。

「えぇ、知り合いですね」

と、私は答えました。

「もしかして…瑠璃華さんの、お父様ですか?」

と、奏さんは紺奈局長に聞きました。

非常に人間的な質問です。

「いや…父親ではないな。家族に例えるなら、精々…親戚の叔父程度だ」

「あ、そうなんですか…。じゃあ、その…そちらの方は…」

と、奏さんは、碧衣さんに視線を移して言いました。

「そうだな…。さしづめ、久露花瑠璃華の、従兄弟と言ったところか」

と、紺奈局長は答えました。

紺奈局長が叔父で、碧衣さんが従兄弟ですか。

同じ『Neo Sanctus Floralia』に所属してはいますが、所属する局は違うので。

人間で例えるなら、確かにそのような続柄が正しいのかもしれません。

「そ、そうですか…。瑠璃華さん、大変な従兄弟をお持ちで…」

「?何処がですか?亅

と、私が首を傾げていると。

「局長にとって僕は、恋人ですよね!彼氏ですよね!」

と、碧衣さんが紺奈局長に念押ししていました。

「い、いや…。恋人では…どちらかと言うと息子…」

「ふふふ。恋人だなんて照れますね〜!」

「…そんなことは一言も言ってない…」

と、紺奈局長はポツリと呟いていました。

今日の碧衣さんは、話が通じないようですね。

彼はたまにこういうときがあるので、ある意味でこれも正常運転でしょう。
< 34 / 467 >

この作品をシェア

pagetop