アンドロイド・ニューワールドⅡ
しかし、私は新種の生き物ではありません。

奏さんのお隣で、ずっと一緒に過ごしてきました。

ただの、『新世界アンドロイド』です。

「え、る、瑠璃華さん…その、羽根って…」
 
「『新世界アンドロイド』に備わっている、バーチャルウイングです」

と、私は言いました。

本来なら、『Neo Sanctus Floralia』の許可なく、一般人にバーチャルウイングを見せてはいけない決まりなのですが。

その決まりを、破っても良いと思える相手です。

私にとって、奏さんは。

自分の全てを明らかにしても、全く惜しくない方ですから。

まぁ、問題ないでしょう。

ちょっとだけです、ちょっとだけ。

世の中にはほら、3秒ルールという謎のルールが存在していると言いますし。

それと同じです。

30分ルールということで。

ちょっと長い気もしますが、まぁ許容範囲です。

「…瑠璃華さんって」

と、奏さんはポカン顔のまま言いました。

「ほ、本当に…あ、アンドロイドだったの…?」

と、奏さんは聞きました。

…何を仰るかと思えば。

「再三、私は『新世界アンドロイド』であるとお伝えしていたはずですが…?何だと思っていたのですか?」

「い、いや…。そ、そういう設定なんだとばかり…。…あれ?じゃあもしかして、琥珀さんとか碧衣さんも、本当にアンドロイド…?」

「幾度となくお伝えしたはずですが…。琥珀さんも碧衣さんも、私と同じ『新世界アンドロイド』ですよ。お二人は他局ですけど」

と、私は言いました。

奏さんは今まで、私達を何だと思っていたのでしょう。

「お、俺…もしかして、とんでもない人と、友達になってた…?」

と、奏さんは唖然として言いました。

そうですね。

人ではなく、『新世界アンドロイド』ですが。

「奏さんは、人類史上初めて、三人ものアンドロイドを友人に持つ人間なのですよ。おめでとうございます」

「…」

と、奏さんは無言で、ポカンとしていました。

二の句が継げない、という状態ですね。

大丈夫です。生きていれば、驚くことはたくさんあります。

私でさえそうなのですから、人間である奏さんは、余計に驚くことだらけでしょうね。
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