望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 だが、もう一つ義務が残っていた。それは初夜。
 子を為すつもりはないと言っていた彼だが、こちらの義務はどうするのか。

「奥様、こちらにお着替えください」
 白いドレスを脱ぐと、メアリーから夜着を渡された。

「これを、着るの?」
 渡されたものを両手に持って、カレンはまじまじと見てしまった。

「はい。初夜でございますから」

 メアリーが嬉しそうに笑顔を浮かべている。一体、何が彼女をそうさせているのか。

「メアリー。あなた。嬉しそうね」
 カレンは気づかれないように小さく息を吐く。

< 25 / 269 >

この作品をシェア

pagetop