望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「え、そんなことありませんよ、奥様。ですが、私は奥様が奥様でよかったと思っております」
 そんなこと無いと言っているが、なくはないだろう。何しろ、メアリーの声が楽しそうに震えているのだから。

「メアリーはそう思っても、きっと旦那様はそう思っていないでしょうね」
 カレンは深くて大きなため息をついた。そして仕方なく、そう仕方なく、夜着に着替えた。

「なんか、ものすごく恥ずかしいのですが」

「とてもお似合いですよ」
 メアリーはやはり嬉しそうだった。
「では、私はこれで失礼いたします」

 寝所に一人残されたカレン。こんな夜着を着せられてしまったら、もうベッドの中に潜るしかない。そもそもレイモンドはここに来るのか。むしろ、来なければ来ないでいい。そう思っていた。

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