望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 だが、その願いはむなしく、隣の部屋との続きの扉が開く。
 ベッドに潜り、目を閉じているカレンを見下ろしているレイモンド。

「寝たのか?」
 カレンは答えない。このまま寝たふりを続けてもいいかな、と思っていた。
 ベッドがギシリと軋んだ。レイモンドがカレンの側に座ったからだ。

「寝たふりはやめろ」

 どうやら彼には気付かれていたようだ。

「それで、どうなさるおつもりですか? 私とは子を為すつもりはないのでしょう?」
 ゆっくりと目を開けて、カレンは言った。起き上がるつもりはない。胸元まで布団をかけたまま、顔だけ彼に向ける。

 ふん、と彼はカレンを見下ろしながら鼻で笑った。

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