望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 食事を終えたカレンは、ジョンソンに「少しパンをいただけないかしら」と頼んだ。
 ジョンソンは不思議そうにカレンに視線を向けた。

「義姉さんは勉強熱心ですから。頭を使うとお腹が空くんじゃないですか」
 と言ったのはアドニスだった。フォローになっているようななっていないような、微妙な言い回しだ。それでもジョンソンからはパンを二つもらうことができた。

 そのパンを手にしてカレンが部屋に戻ると、部屋の奥で黒い塊がのそりと動いた。カレンが戻ってきたことに気付いたのだろう。賢いのか敏感なのか。

「パンをもらってきたのだけれど、食べられるかしら」

 カレンがパンをちぎって手の平の上にのせ、それの顔の前にさしだしてみた。すると、それがペロリと舌を出して食べてしまったのだ。

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