望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 コンコンコンと部屋をノックされる音で、彼女はハッと顔を上げた。そして部屋の入口のドアまでゆっくり歩いていくと、その扉をほんの少しだけ開ける。

「義姉さん。そろそろ家庭教師の時間ですよ」
 アドニスだった。

「ごめんなさい。今すぐ行きます」

「いつも時間より早くきている義姉さんがこないので、少し心配していました」
 アドニスはにっこりと笑っている。

「少し、調べ物をしていたので」
 カレンもにっこりと笑う。作り笑いは得意だ。

「そうですか。相変わらず、義姉さんは勉強熱心ですね」

「ええ。知らないことだらけですからね」

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