望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 それにアドニスは頷いた。「獣人たちはなぜか獣化した状態から姿をかえることができなかった。そのままダレンバーナの兵に捕まって、はい、終了」

 カレンは顎に手を当てた。何かを考えているようだ。アドニスは口の中に広がった甘さを打ち消すために、お茶を飲んだ。

「義姉さん、何を考えています?」

「その、捕まっている獣人たちを解放したら、ダレンバーナを潰せるのではないか、ということと。なぜ、獣人たちが半獣化できなくなったのか、ということ」

 アドニスは飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。この義姉は、夢物語でも語っているのだろうか。

「義姉さん、その発言は国に対する不敬と捉えられても仕方ありませんよ。少し慎んだ方がいい」

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