望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「そうね。聞かなかったことにしてちょうだい」
 カレンもお菓子をフォークにのせて口元にまで運ぶ。「これ、美味しいわね」
 無邪気な笑みを浮かべるカレンに、アドニスも笑い返した。
 義姉の行動が読めないけれど、なぜか期待してしまう自分もいる。

「もう一つだけ教えてちょうだい」

「なんでしょう?」

「つまり、獣人たちは皆、捕まってしまったっていうことかしら?」

「それは、どうでしょうか。ひっそりと隠れて生きている者たちもいるかもしれませんね。獣人であることが見つかれば、捕まることが目に見えていますから」

「そうよね。変なことを聞いてしまってごめんなさい」
 そこでまた、カレンはフォークを口元に運んだ。それはとっても甘ったるくて、鼻につく甘さだった。お茶でそれを流し込む。

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