望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「すごいや。本当に治ってる」

「魔力が残っていたらしい。だから、人型にも戻れなかったようだ」

「ふーん」
 アドニスの視線が冷たい。「でしたら、今は戻れるんですよね。さっさと戻ればいいじゃないですか」

「お前。なんか、冷たいな」

「兄さんが不甲斐ないから怒っているんですよ」

「アディ。その女を支えていろ」

「はいはい」
 アドニスの投げやりな返事に、豹は目を細めた。
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