舞台の上で輝いて

夜、部屋で昼間のリハーサルの事を思い出して、思わず笑顔になってしまっていた。笑顔というよりもにやけ顔という方が正しいかも。

中学生の時にお母さんに連れられてバレエの公演を観に行った。
その舞台で華麗に踊る結城さんを観て物凄く感動した。
舞台を完全に支配していた。
カリスマという言葉の意味を理解した。
舞台のアンコールの時はもう、夢中で拍手した。
気がついたら席を立っていた。
鳴り止まない拍手。
繰り返されるアンコール。

その瞬間に恋をしてしまった。

その日から将来、絶対に同じバレエ団に入団して同じ舞台に立ちたい‼︎強く願うその気持ちで努力を重ねた。
このバレエ団も結城さんがいるから志望した。
入団テストに合格した時は嬉しかった。
でも、それから3年.同じバレエ団に所属して、毎日同じクラスレッスンを受けていても朝と帰りの挨拶以外会話した事なかった。
出来なかった。
アーティストで入団した私とプリンシパルの結城さんとのスタジオでの実際の距離は15メートル位。
でもその間には目に見えない大きな大きな川があって、感じとしては100メートル位離れているよう。
だから会話が出来ないのも当たり前。
毎日、顔が見られるだけで満足だった。
顔だけでなくて結城さんのレッスンの様子を毎日見られる
繊細な仕草、華麗なテクニック、大胆な身のこなし、音の取り方。
いつまででも見ていたくなる。
< 8 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop