シンガポール・スリング
・・・・・・
「ハロー!やっと会えてうれしいわ」
2時間後---。
レンとシュンリンは未希子の出迎えを受けていた。おどおどしている未希子に向かって、シュンリンはぎゅっと未希子を抱きしめると、何、これ!?抱き枕みたいっっ!!と未希子に頬ずりした。
「もういいだろ、離れろ」
「やだ。こんなちっこくてかわいい生き物を独り占めするなんて反対!」
未希子を見下ろしてから、シュンリンはもう一度ぎゅっと抱きしめていた。
178センチのシュンリンに対し、未希子は149センチ。レンが184センチだから未希子は巨人二人に囲まれていることになる。
「・・・初めまして。未希子です」
ぺこりとお辞儀すると、シュンリンは悲鳴を上げた。
「レンっ!!シンガポールに連れて帰っていい?」
「良くないに決まってるだろう・・・」
「未希子ちゃんって呼んでいい?」
「ぁ・・・はい・・・」
シュンリンは未希子の手を握ると、勝手知ったるレンの家をずんずんと進んで行き、シュンレンがいつも使っている部屋へと消えていった。
4日間だけと言われ、今後一切来ないことを条件に渋々未希子に電話して許可を取った。食事、一緒にするんですよね?と聞かれ、シュンレンに確認すると今日の夜はお願いしたいとのことだった。
ダイニングテーブルを眼をやると、唐揚げやサラダ、お刺身等用意されている。
シュンリンのために日本料理を作ろうと考えたんだな。
レンはネクタイを緩めながら、口元をほころばせた。