ゲーム友達
試合が始まって、さっさと当たって外野に出ようと思ってたけれど、全然出られなかった。
何度か飛んできたボールに棒立ちしていると、横から早坂くんがキャッチしてくれていたから。
「わざと当たろうとしてない?」
「し、してないよ」
「ふーん」
すごく冷たい視線が飛んでくる。
早坂くんは負けず嫌いだ。
オンラインゲーム中もそう。
私の方が調子が良い時もあったりするけれど、
早坂くんは自分が勝つまで絶対終わらなくて、何度か夜更かしした事もあった。
口では文句を言うけれど、本当は嬉しかったり。
コート内の人数がどんどん減っていく。
私はなんでこんな終盤まで生き残っているんだろう。早坂くんのせいだ。そんなに頑張らなくていいのに。
「走れ、あかり!」
「は、はいっ」
いつの間にか早坂くんの熱量に引っ張られて、必死で逃げていた。
運動が苦手な私は、息もあがって、きっと走り方も滑稽だ。
早坂くんが投げたボールが相手の1人に当たり、そのままコート外、遠くに飛んでいって外野にいた生徒が走って追いかけていく。
ああ、やっと少し休憩出来る。