春になっても溶けないで
「そうだよね。」


悠が、いつものやんわりとした笑顔に戻って言った。


「中本さんって、もともとイジメとか、そういう最低なことをする奴だったの?」


悠が、不思議そうに首を傾げて言う。


「ううん、最初は優しかった…」


イジメが始まった日のことを思い出して、少し声が小さくなる。


「そっか。イジメ始めた理由って、何か心当たりがあったりする?」


悠が、少し近づいてきて言った。


ただでさえ近いのに、さらに近づいたからすごく近い。

ドク、ドクと心臓が早くなっていく。



ドキドキして声が出そうになかったから、勢いよく首を振った。


イジメが始まった理由に、心当たりはなかった。


いきなり始まって、理由なんて分からない。だからこそ、とても辛かった。



「そう…嫌な話させてごめんね。本でも読もっか。」



悠が、困ったような笑い方をして言った。

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