春になっても溶けないで
「うん…」

私がそう言うと、悠は椅子から立ち上がった。


そして、私に手を差し出してくる。


私が躊躇いがち手を重ねると、悠は優しく手を握り返してくれた。

そのまま力を入れて、私を立たせる。


「凛は、どんな本が好き?」


悠が、私の手を引いて、ゆっくり歩きながら言った。


「うーん…小説とかかな。」


悩みながら答えた。一番好きなのは、やっぱり小説だ。


「そっか。俺も小説かな。」


悠が、嬉しそうに笑って言った。


その笑顔を見ると、こっちまでポカポカした気分になる。
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