春になっても溶けないで
「あ、これ…」

とある本に目が止まって、思わず声が出た。

何度も読んだ本。主人公が私に似ていて、とても好きな本だった。


「これ?俺も読んだことあるよ。いい本だよね。好きな本だよ。」

朗らかに微笑んで、悠が言う。

私が好きなものを、悠も『好き』と言ったことがなんだか嬉しかった。


「私も、好き。」

言いながら、なんだか告白みたいだな、と思う。

その瞬間、悠の頬が一瞬赤くなった気がして、ドキリとした。

私の言葉に、ドキドキしたのかな。

「照れてる?」

ニヤリと笑って、私は言った。

「そんなことないし。」

そう言って、悠は目線をそらしてしまう。

なんだか、可愛い。心臓がドキドキと脈を打つ。

なんだかこっちまで恥ずかしくなって、俯いてしまう。


「ふふっ。」

悠が優しく笑った。


「そっちも照れてるじゃん。」


そう言いながら、私の体に手をかざしてくる。


そのまま、ぎゅっと抱きしめられた。


「え…?」


心臓が壊れそうだ。男の子とハグなんて、初めてした。







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