結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
 龍一はお腹にそっと手を当てて、「あぁ、間違えた。ふたりきりじゃなくて、三人だったな」とおなかの子に詫びるように言葉をかける。

「この子が無事に生まれたら、また来たいですね」
「もちろん」

 龍一は答えると、凛音のうなじに唇を寄せた。

「ひゃあ」

 一瞬で耳まで赤くなった凛音を見て、彼は満足そうにほほ笑んだ。

 具材大きめのビーフシチューにオムレツとコールスローサラダ。龍一はこしらえた料理をテーブルに並べる。

「料理はあまり得意じゃないから、簡単なもので悪いな」
「いえ、とってもおいしそうです。男の人の料理って感じで新鮮ですし」

 凛音の微妙なフォローに彼は顔をしかめる。

「それ、褒めてるか? まぁ、どうあがいても料理は凛音にはかなわない」

 龍一は降参のポーズを作る。

「私は歴が長いだけで、センスは全然ですよ」

 母親が夜の仕事だったので、物心ついた頃から料理は自分でしてきた。水無月家にはシェフがいるが、今でも厨房を借りて自分で作ることもある。最近は龍一に振る舞うことも多い。

「そういえば、義理の兄妹の結婚ってもっと手続きとか面倒なのかと思っていました」
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