天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「昼間ならば、煙の方が見えやすいのではないか? 妾のような精霊ならば、一瞬の光も見逃さないが」
「そっか。煙か……ピンクの煙とか、可愛いかも」

 早くも飽きてしまったらしいカークは、エリアスの背中によじ登り、モフモフの毛並みに顔を埋めている。ライナスとやっていることがたいして変わらない。

「煙ね……ミリィ、そっちの錬金術事典貸して」
「うん。じゃあ、ミリィは、発射する筒はどうしたらいいか考えるね」

 とりあえず興味あるところから調べてみて、少ししたら三人で意見交換しようか。父の仕事部屋の片隅、思い思いに過ごす時間が、こんなにも愛おしい。

(ライにも、喜んでもらえるようなものを作らなくちゃね!)

 今回の発明は、ライナスに喜んでもらえるだろうか。喜んでもらえるといいな──と思いながら、ミリエラは事典のページを繰る。

 いつまでも、こんな時が続けばいいのにと心の中でつぶやいた。

 

 試行錯誤を続けることひと月。ようやく完成したのは、ライナスが到着する前日であった。完成、ギリギリである。

(ライの歓迎に間に合ってよかった……!)

< 265 / 279 >

この作品をシェア

pagetop