カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない~
いつもは大らかで笑顔の素敵な富田部長なのだが、この時ばかりは鬼の形相になっているような気がして目も合わせられない。
「富田部長……あの……お話が……」
きっと私の額には冷や汗が浮かんでいることだろう。
富田部長の前でこんなに近況と恐怖を感じたことなど一度もなかったが、今は膝が震えている。
「ああ、例の結婚式の話だね」
低い部長の声がさらに低く感じるのは気のせいだろうか。
「はい……。報告が遅れてしまい、誠に申し訳ございません」
大切なお客様の結婚式を嘘で塗り固め、台無しにしてしまったことを部長に直接謝罪報告しないまま終わらせてしまったのだ。
どんな処分をされてしまったとしても仕方がないと覚悟はしているものの、懲戒免職ともなれば立ち直れないだろう。
深々と下げた頭を上げることは、恐ろしくてできなかった。
「結婚、おめでとう」
「……は?」
全く予想だにしなかった富田部長の言葉に、私は間抜けな返ししかできなかった。
「結婚。驚いたよ、全く」
そう言って、富田部長はいつものように優しく微笑んでくれた。
まさかこの場において、笑顔で祝福の言葉を聞くことになるとは思いもしなかった私は、引き攣った笑顔で『私も……驚きです……』と呟いた。
「富田部長……あの……お話が……」
きっと私の額には冷や汗が浮かんでいることだろう。
富田部長の前でこんなに近況と恐怖を感じたことなど一度もなかったが、今は膝が震えている。
「ああ、例の結婚式の話だね」
低い部長の声がさらに低く感じるのは気のせいだろうか。
「はい……。報告が遅れてしまい、誠に申し訳ございません」
大切なお客様の結婚式を嘘で塗り固め、台無しにしてしまったことを部長に直接謝罪報告しないまま終わらせてしまったのだ。
どんな処分をされてしまったとしても仕方がないと覚悟はしているものの、懲戒免職ともなれば立ち直れないだろう。
深々と下げた頭を上げることは、恐ろしくてできなかった。
「結婚、おめでとう」
「……は?」
全く予想だにしなかった富田部長の言葉に、私は間抜けな返ししかできなかった。
「結婚。驚いたよ、全く」
そう言って、富田部長はいつものように優しく微笑んでくれた。
まさかこの場において、笑顔で祝福の言葉を聞くことになるとは思いもしなかった私は、引き攣った笑顔で『私も……驚きです……』と呟いた。