最愛の日々にピリオドを、


『若いうちは、たくさん後悔すればいいのよ』

誰よりも早く私の決意を揺らがしてきたお母さんは、最後の2日間という猶予を許してくれた。学生最後の時間、親孝行すべきなのに、お母さんはいつまでも母親のままわたしに的確なアドバイスをくれた。
後悔することなんて目に見えていても、それを引き摺って、ボロボロになっても、あなたのことを支えてくれる人はいるでしょう。お母さんのこと忘れないでよね、なんて、母は誰よりも強くてかっこいい人だ。


“学生最後”

この言葉がそこらじゅうで聞こえるようになってから、私たちの関係に無限はないということをなんとなく察していたような気がする。


夕雅と一緒にいる時間が少しずつ、友達やアルバイト、同期に費やされていく。
大学生活をちゃんと楽しまないと、なんて思って外に出掛けることも多くなって、その遊ぶお金をアルバイトでまかなって。基本あの部屋で過ごしてきた私たちは、そうやって友達と遊ぶようなアウトドアなデートとかもちっともしたことないなあ、そんなことを考えながら、そういうことを考えることすらも、減ってしまっていたような気もする。


窓際、パソコンも載っていない机に置いてある、黄色の花。
アルバイト先からもらったのだろう、色紙には『夕雅先輩へ』と大きな文字が書かれている。かわいらしい、女の子の字だ。

夕雅の友達のストーリーには、男女グループの飲み会の映像が映っていた。楽しそうに笑っている夕雅をみて、私は昔のような感情にならない。



何があっても、夕雅はきっとわたしのところに帰ってきてくれる。
それなら、どこで何していても何も口出さない。そう思うことが安定で慣れだというのなら、私は怖かった。

あんなに恋焦がれていた感情は、これから先どんどん形を変えていくだろう。その根本には絶対に変わることのない夕雅への気持ちがある。それでも、もう、何かが違う。



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