最愛の日々にピリオドを、



あと少しで引っ越しだね、
片付けちっとも、進んでないじゃん。

呉羽が手伝ってくれるだろ?
俺、こういう断捨離マジで苦手なの。


いつも通り夕雅の部屋に訪れて、グダグダと時間を過ごして。当たり前にある夕雅の生活の一部になっている私がいる。
引っ越しの準備を手伝っていると、こんなに通い慣れた場所だったのに、それがどんどん変わってきてしまっていることに気づいた。知らないことは減っていくはずなのに、知らないことが増えていった。思えばアルバイト先にどんな子がいて、帰る時間が遅くなったことにもあまり気にかけていなかったし、大学の友達と夜遅くまで飲んで朝に帰ることも、昔は許してなかったのに許容になっていた。



『俺はそれを、呉羽に持っててほしい』
『―――か、ぎ?』
『ここも、呉羽が帰ってくる場所だろ』

大学3年生になってすぐの誕生日。アクセサリーなんて似合わないプレゼントと一緒にくれたこの世に2つしかないもの。



ふと自分のキーケースについている、この部屋の鍵をみたとき。

この鍵を手放したら、新しい部屋の鍵はもう私の手元に来ないと思った。
欲しい、とも言えないと思った。何となく、それが最後になってしまうことに対して、納得ができてしまった。



SNSを開いて、夕雅が友達となにしていようが、そこに女の子がいたとしても、そのまま見なかったことにしてしまうことができる。離れても、そうやってこのまま彼が自分の知らない人になっていってしまっても、大丈夫かもしれない、と思ってしまった。




「―――離れたら、わかるのかな」




明日から、あなたがいない。
それでも私たちは、やっていける?


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