最愛の日々にピリオドを、
夕雅が、立ち上がる。向かい側にいた彼が、わたしの隣に並ぶ。ゆっくりと顔をそちらに向かされて、ひどい顔を覗きこまれて、長い指が涙を掬う。
その仕草にまた涙が出て、夕雅は呆れたようにわたしを抱き締める。
「どうすればよかったんだろうな、」
腕の中で聞いた、ボロボロの弱音に、声を上げて泣いた。
この腕に抱きしめられている間が、一番落ち着く。同じリズムで鳴っている心臓が、お互いの気持ちを代弁してくれてる。その時間だけ、何も言わなくても私たちは私たちが必要だと思えていた。
近い距離で、視線が絡む。
4年間、必死に隣を死守し続けた、これまでの22年間で一番好きになった人。
「―――もう、泣くなよ」
「……そっちこそ、そんな顔しないでよ」
ゆらゆらと揺れる彼の視界の中に、泣きはらした顔のわたしが映っていた。はーーと、息を吐いて上を見上げる夕雅にそっと手を伸ばして、ほどけそうな涙腺に触れた。
くしゃくしゃに表情を崩した彼の頬に落ちる涙を、わたしは受け入れる。
「―――――、」
「……っはは、もしかして、わたしの、移った?」
「……そう、呉羽のせいだわ、マジで」
「―――うん、ありがとう、夕雅」
わたしを想って、そういう風に泣くんだね。いつも泣くのは私ばかりで、それを「俺のことが好きすぎて泣いてるんだもんな」って自惚れるように小馬鹿にしてきたことを、今日だけはそのまま返す。
弱みを見せたことなんて、ほとんどなかったね。
熱を出して寝込んでいたときに、本当は家で一人なのは寂しいし、実家がたまに恋しくなるけど、わたしがいてくれるから幸せだ、と言ってくれたね。