孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
僕自身、彼女に再会したからといって、儚く散った初恋が、十五年もの時を経て再燃したとは思っていない。
今のこれは、あの頃の想いと似て非なるものだ。
僕は無言でやり過ごそうとして、
「そのせいで、霞はあなたの復讐だと思ってる」
思いも寄らないワードが鼓膜に刻まれ、足を止めた。
「……復讐?」
自分の口で反芻する間に隣に並んだ彼女を、顎を引いて見下ろす。
鹿野さんは、頷いて応えた。
「自分が霧生先生になにかして、怒らせたか傷つけたか。それを覚えてないことで、さらに先生に不愉快な思いをさせてるって、知りたいのに聞けないんです」
「…………」
惨めな初恋の思い出など、蒸し返す必要はない。
それに、彼女に話して聞かせれば、あの頃の僕への罪悪感に苛まれるのは目に見えている。
だから言わずにいるのに、彼女はここでも僕を気遣うのか――。
「……ほんと、呆れるくらいお人好しだな」
僕は思わず心の声をボソッと漏らし、口に手を遣った。
「え?」
「いや。……それで、彼女はなんて?」
「なにも」
「は?」
話題を振っておいて、いきなり寸断される肩透かしに、呆気に取られた。
今のこれは、あの頃の想いと似て非なるものだ。
僕は無言でやり過ごそうとして、
「そのせいで、霞はあなたの復讐だと思ってる」
思いも寄らないワードが鼓膜に刻まれ、足を止めた。
「……復讐?」
自分の口で反芻する間に隣に並んだ彼女を、顎を引いて見下ろす。
鹿野さんは、頷いて応えた。
「自分が霧生先生になにかして、怒らせたか傷つけたか。それを覚えてないことで、さらに先生に不愉快な思いをさせてるって、知りたいのに聞けないんです」
「…………」
惨めな初恋の思い出など、蒸し返す必要はない。
それに、彼女に話して聞かせれば、あの頃の僕への罪悪感に苛まれるのは目に見えている。
だから言わずにいるのに、彼女はここでも僕を気遣うのか――。
「……ほんと、呆れるくらいお人好しだな」
僕は思わず心の声をボソッと漏らし、口に手を遣った。
「え?」
「いや。……それで、彼女はなんて?」
「なにも」
「は?」
話題を振っておいて、いきなり寸断される肩透かしに、呆気に取られた。