孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
それを返事と解釈したのか、霧生君は私から目を逸らし、ガシガシと頭を掻いた。
「霞。この間、僕は……」
「いいの! ふ……夫婦のままでいるならそういうこともあるって、私も半分義務みたいに考えてただけだから」
軽い調子で笑って流したかったのに、不覚にも唇が震えてしまった。
頬の筋肉がひくひくと痙攣して、情けない泣き笑いになる。
霧生君は怯んだ様子で、一歩後ずさった。
それを見て、私は唇を噛み――。
「なのに……好きになって、なんて。霧生君こそ、残酷だよ」
喉の奥まで嗚咽が込み上げてきて、私はくるりと背を向けた。
カーテンをギュッと握りしめ、肩を縮める。
「……もういいでしょ。帰って」
なんとか嗚咽をのみ込んだものの、絞り出した声は掠れた。
霧生君から、返事はない。
今まで彼との間で感じたことのない、息苦しい沈黙が続いたのは、ほんの少しの間。
私の後ろで、静かに床を踏む音がした。
条件反射で、ギクッとした。
でも足音は私から離れていき……玄関のドアの開閉音を耳にして、私はそっと背後を振り返った。
そこに、霧生君の姿はなく――。
ローテーブルの上に、卒業アルバムが置いてあった。
私は惰性的に足を踏み出し、ローテーブルの横で立ち竦んだ。
無言で見下ろしたアルバムは、D組のページが開かれていた。
「霞。この間、僕は……」
「いいの! ふ……夫婦のままでいるならそういうこともあるって、私も半分義務みたいに考えてただけだから」
軽い調子で笑って流したかったのに、不覚にも唇が震えてしまった。
頬の筋肉がひくひくと痙攣して、情けない泣き笑いになる。
霧生君は怯んだ様子で、一歩後ずさった。
それを見て、私は唇を噛み――。
「なのに……好きになって、なんて。霧生君こそ、残酷だよ」
喉の奥まで嗚咽が込み上げてきて、私はくるりと背を向けた。
カーテンをギュッと握りしめ、肩を縮める。
「……もういいでしょ。帰って」
なんとか嗚咽をのみ込んだものの、絞り出した声は掠れた。
霧生君から、返事はない。
今まで彼との間で感じたことのない、息苦しい沈黙が続いたのは、ほんの少しの間。
私の後ろで、静かに床を踏む音がした。
条件反射で、ギクッとした。
でも足音は私から離れていき……玄関のドアの開閉音を耳にして、私はそっと背後を振り返った。
そこに、霧生君の姿はなく――。
ローテーブルの上に、卒業アルバムが置いてあった。
私は惰性的に足を踏み出し、ローテーブルの横で立ち竦んだ。
無言で見下ろしたアルバムは、D組のページが開かれていた。