孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
翌朝、職員更衣室で支度を済ませ、ナースステーションに向かおうとして、操と会った。


「あら、偶然。おはよう」


彼女も着替えを終えていて、ロッカーの前に立っていた。
前髪をピンで止めながら、こちらに視線を流してくる。


「おはよう、操」


私は足を止め、同じ挨拶を返した。
そして、改まって背筋を伸ばす。


「あの……昨夜ごめん。せっかくのリラックスタイム、邪魔して」


操は、私の謝罪を聞きながらロッカーを施錠して。


「仲直りできなかったの?」

「え?」

「目。腫れてるわよ。一晩泣き明かした後って顔してる」


向き直り、小首を傾げて指摘されて、私は思わず自分の目元に手を遣った。
操は私の返事を待たずに背を向け、更衣室から出ていく。
私は慌てて、その後を追った。


黙ったまま、スタスタとエレベーターホールに向かう彼女の背を、上目遣いに窺う。
ご指摘通り腫れぼったい目を、自分の足元に落とし……。


「……私さ。中学の時もお節介なことして、霧生君に迷惑をかけてた。しかも、人に言われるまで気付けなかった。……最低だよね」
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