孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
「え? な、なにを?」
彼の笑顔にドキッと心臓を跳ね上げていた私は、左手を胸に当てて聞き返した。
「いろいろ」
颯汰はふっと吐息を漏らし、自分の足の爪先に目を落とす。
「……?」
首を傾げ、難しい顔をして思案する私を視界の端で捉え、肩を揺らしてくくっと笑った。
空になったケースを、元通り白衣のポケットに収める。
「これからは、秘密の共有なんて間柄じゃないし、僕は君の前ではなにも恥ずかしいことはない。なにせ、もうなにもかも知られ尽くしたからね」
「……えっ!?」
随分さらりと、ドギツいことを言われた気がして、私は声をひっくり返らせた。
颯汰は私を翻弄するだけしておいて、「戻ろうか」とスタスタと院内に歩いていった。
「ちょっ……霧生、先生」
向かう先には、午前の外来診療の受付締切時間を迎え、混雑する外来ロビーがある。
私は人の耳を気にして、呼び方を改めた。
肩を縮めて、彼の隣に並んで歩く。
なんとなく視線を感じて、そっと辺りを窺った。
ロビーで会計待ちをしている、小児から熟年まで幅広い層の女性患者が、壮絶なイケメン医師を振り返って二度見していく。
当の本人はまったく意に介さず、涼しい顔でまっすぐ前を見据えて先を急ぐだけだけど――。
私は、くすぐったい気分で、胸を疼かせた。
彼の笑顔にドキッと心臓を跳ね上げていた私は、左手を胸に当てて聞き返した。
「いろいろ」
颯汰はふっと吐息を漏らし、自分の足の爪先に目を落とす。
「……?」
首を傾げ、難しい顔をして思案する私を視界の端で捉え、肩を揺らしてくくっと笑った。
空になったケースを、元通り白衣のポケットに収める。
「これからは、秘密の共有なんて間柄じゃないし、僕は君の前ではなにも恥ずかしいことはない。なにせ、もうなにもかも知られ尽くしたからね」
「……えっ!?」
随分さらりと、ドギツいことを言われた気がして、私は声をひっくり返らせた。
颯汰は私を翻弄するだけしておいて、「戻ろうか」とスタスタと院内に歩いていった。
「ちょっ……霧生、先生」
向かう先には、午前の外来診療の受付締切時間を迎え、混雑する外来ロビーがある。
私は人の耳を気にして、呼び方を改めた。
肩を縮めて、彼の隣に並んで歩く。
なんとなく視線を感じて、そっと辺りを窺った。
ロビーで会計待ちをしている、小児から熟年まで幅広い層の女性患者が、壮絶なイケメン医師を振り返って二度見していく。
当の本人はまったく意に介さず、涼しい顔でまっすぐ前を見据えて先を急ぐだけだけど――。
私は、くすぐったい気分で、胸を疼かせた。