孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
霧生君お手製のチキンの香草焼きと、きのこのトマトソースパスタを食べながら、彼が本場フランスから持ち帰ったブルゴーニュ産の高級赤ワインを飲み交わした。
料理がなくなると、半分ほど残ったワインボトルとグラスを手に、ソファに移動した。


ワインの肴は、私が帰りに駅まで足を延ばして買ってきたショートケーキだ。
なんとなく点けたテレビ番組を眺め、ちょいちょい話題に挟むだけでも会話は弾む。


誰かとこうしてお喋りして過ごしているというだけで、ここ数年で一番クリスマスらしい。
私は、お酒は好きだけど、それほど強いわけではない。
ワインボトルの残量が三分の一くらいになった時には、だいぶ気分が高揚していた。


「ふーっ。やっぱりいいワインは、五臓六腑に沁み渡るー……」


私はソファから降り、ラグマットが敷かれた床にペタンと座り込んだ。
赤く染まって熱っぽい頬をローテーブルにくっつけると、冷たくて気持ちがいい。


「ふふ。うふふ」


ご機嫌で笑い上戸になる私を、霧生君がソファに座ったまま見下ろしてくる。


「安いワインでも、茅萱さんの五臓六腑には沁み渡りそうなもんだけど。実は、そんなに強くないでしょ」


呆れ半分に言って、ゆらゆら揺らしていたグラスをテーブルにコトンと置いた。
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