溺愛ハンティング
 いち早く立ち直った様子の相原さんたちに促され、堺さんが慌てた様子で挨拶を始める。
 続いてキャンペーン『BRUSH THE PLUSH』の趣旨やコンテストの説明へと移り、最後に参加者とそれぞれの担当が紹介された。

 それから三つのグループに分かれたが、相原さんや真由ちゃんのテーブルはずいぶん話が弾んでいるようだった。
 私がボタニカルツアーに参加したように、他の二人も前もって呉服屋さんと料亭に足を運んで、すっかり仲よくなったらしい。

 相原さんは聞き上手だし、真由ちゃんは人なつこくて、お客様にも人気がある。
 
 すでにプランも決まっているのか、どちらもタブレットを片手に笑顔で説明していた。今にも試着に向かいそうな勢いだ。

(う、私だけ出遅れてる)

 いくら苦手意識があるからとはいえ、このままではせっかく来てくれた八木さんにも失礼だ。

 私は笑顔を作って、彼に話しかけた。それがかなりぎこちないものであることは自覚していたけれど。

「先ほどの堺の説明で、コンテストではショー形式でビフォーアフターのスタイリングを競うことはおわかりいただけたと思います。まず八木さんは先日つなぎを着ておられましたけれど、あれがお仕事の時のスタイルと考えてよろしいでしょうか?」
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