溺愛ハンティング
 すると八木さんは眉を寄せ、「うーん」と唸った。

「とも限らないかな。Tシャツとハーフパンツの時もあります。動きやすいことが大事なので」

 やっぱりプラントハンターのビフォーはあいまいだ。そういえば高砂さんがくれた雑誌の写真では、スポーツブランドのジャージの上下を着ていた。

「……動きやすい恰好」
「すみません。鳴瀬さんを悩ませちゃってますね」
「いえ、大丈夫です」

 本当は全然大丈夫ではなかったが、私は懸命に口角を上げた。ちょうど高砂さんがそばに来たからだ。

「八木さん、いかがです? こちらは順調ですか?」
「はい!」

 話しかけられたのは八木さんなのに、勢いよく立ち上がったのは私だった。

 次の瞬間、高砂さんと八木さんが顔を見合わせ、申し合わせたようにふき出した。

「鳴瀬さん、テンパり過ぎです」

 後ろに控えていた堺さんにも笑われて、頬がカッと熱くなる。

「すみません。たいへん失礼いたしました!」

 下げた頭の上から「落ち着いて」と柔らかい声が落ちてきた。

「八木さんとお目にかかって、鳴瀬は少し緊張しているようです。しかし彼女はとても熱心で優秀ですから、よろしくお願いいたします」
「はい、僕も楽しみにしています」

 高砂さんと八木さんの優しい言葉に、顔を上げることができない。
 私は「がんばります」と、さらに深く頭を下げた。
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