溺愛ハンティング
 それから五日目の昼ごろ、私は八木さんが運転するチャコールグレーのSUV車の助手席にいた。

 向かっているのは、彼いわく『じいさんの山』だ。
 車で一時間半ほどの場所に、おじいさんが所有している山があるそうだ。

 つき合ってほしい場所がどうして山なのかというと、ちょうど様子を見に行くつもりだったからだそうで……。

 八木さんは家まで迎えに来てくれて、出発前に近所のカフェで一緒にパンケーキを食べながら、こう話してくれた。

「山っていっても、全然たいしたことないですよ。ちょっと小高い丘みたいなところで、もう雪もないし、スニーカーでも平気だから」

 私は白いフーディーにデニムという格好だったが、念のためダウンを着て、スノトレも履いていた。
 さらにマフラーを巻き、重ね着もして、それなりに防寒対策はしたつもりだ。
 髪はゆるめのポニーテールにしたので、また高校生みたいな見た目になっていたけれど。

 一方の八木さんはダウンこそ手にしていたが、グレーのスウェットとカーゴパンツという軽装だった。
 だけどどうして山なのだろう? まあ、八木さんは運転がうまいし、私もドライブは好きだけれど。

 だが意外だったのは、彼と一緒にいるのがとても楽しかったことだ。
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