溺愛ハンティング
私たちは車の中でひっきりなしにしゃべっていたわけでもないし、実際たいした話もしていない。
しかも八木さんは友だちではないのだ。
人見知りで、あまり社交的とはいえない私には考えられないことだった。
(何で?)
穏やかな低い声を聞いていると、ずっと前から隣でこうしていたような気がしてくる。二人でいる空気感が不思議なくらい心地よかった。
振り返ってみれば、顔合わせの時も、彼のシャツを選んだ時も、いや、そもそも忘れた鉢を届けてくれた時も、同じように感じていたのかもしれない。
全然意識していなかったし、彼の明る過ぎる髪も、完璧な容姿も、物怖じしない態度も苦手だと思っていたはずなのに。
私がふいに黙り込んだからか、八木さんがちらりとこちらを見た。
「で、スタイリングのアイデアは浮かびました?」
「あ、ええ、少しは。でも、まだまとまっていなくて……資料はいろいろ見たんですけど」
「たぶん俺のせいだな。プラントハンターなんてわかりづらい仕事だし。まあ、今日は気分転換のつもりでのんびり楽しんでください。山には俺たちしかいないから」
そう言ってから、少し慌てて「でも心配しないで」とつけ加えた。
「大丈夫。妙な下心なんてありませんから」
「まさか! そんなこと思ってませんよ」
私がふき出すと、八木さんも笑ったが、ふと表情を改めた。
「いや、実はあります……下心」
しかも八木さんは友だちではないのだ。
人見知りで、あまり社交的とはいえない私には考えられないことだった。
(何で?)
穏やかな低い声を聞いていると、ずっと前から隣でこうしていたような気がしてくる。二人でいる空気感が不思議なくらい心地よかった。
振り返ってみれば、顔合わせの時も、彼のシャツを選んだ時も、いや、そもそも忘れた鉢を届けてくれた時も、同じように感じていたのかもしれない。
全然意識していなかったし、彼の明る過ぎる髪も、完璧な容姿も、物怖じしない態度も苦手だと思っていたはずなのに。
私がふいに黙り込んだからか、八木さんがちらりとこちらを見た。
「で、スタイリングのアイデアは浮かびました?」
「あ、ええ、少しは。でも、まだまとまっていなくて……資料はいろいろ見たんですけど」
「たぶん俺のせいだな。プラントハンターなんてわかりづらい仕事だし。まあ、今日は気分転換のつもりでのんびり楽しんでください。山には俺たちしかいないから」
そう言ってから、少し慌てて「でも心配しないで」とつけ加えた。
「大丈夫。妙な下心なんてありませんから」
「まさか! そんなこと思ってませんよ」
私がふき出すと、八木さんも笑ったが、ふと表情を改めた。
「いや、実はあります……下心」