溺愛ハンティング
「えええっ?」

 声が盛大にひっくり返る。

 すると八木さんは苦笑しながら、かぶりを振った。

「安心してください。バディに妙なことはしませんよ。これからコンテストもあるし、何より相手の気持ちが大事ですから」
「や、八木さん!」
「いきなりすみません、鳴瀬さん」

 すみませんと言われても、いったい何と答えればいいのだろう?

 心臓が高速で激しく鳴り出し、顔がものすごく熱くなった。きっと耳まで真っ赤になっているはずだ。
 私は俯いて、膝の上で両手を握る。

 そこへ思いもかけないひとことが降ってきた。

「俺……あなたが好きです」

 瞬間、鼓動が限界値に達した、たぶん。
 告白はいかにも八木さんらしい直球だったから。

「今ここで言うことじゃないけど、やっぱりちゃんと伝えておきたくて。どうやら手強いライバルがいるみたいだし、俺は相当出遅れてる気がするので」
 
 もちろん彼が親切なことはもうわかっている。派手なヴィジュアルだけど、意外にまじめなことも。
 
 だけど、どうして私なのだろう?

(ライバルって何? ていうか、出遅れてるってどういうこと?)

 何か言わなければと思うのに、頭の中がグルグルして、どうしても言葉が見つからない。

 その時、車がなめらかに停まった。

 私たちは目的地に到着したのだった。
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