因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
明日の食事当番は伊織さんだから、洗い物は朝まとめてやるつもりかな。
今私がやっておけば、彼の負担を少しは減らせるかも。
伊織さんには夫婦ともどもお世話になってばかりなので、私は土間に下りて食器洗いを始める。スポンジをふわふわに泡立て、高級そうなグラスを丁寧に洗う。
水切り籠に入れる時も慎重に……。自分に言い聞かせながら、無事にすべてを洗い終える。
最後にシンクの水気を拭きとっていたら、背後でガチャリと勝手口のドアが開いた。
「あ、太助くん。お帰りなさい」
振り向いた先にいたのは、太助くん。貴英と街中で見かけた時と同じ、ダウンジャケットとジーンズ姿だった。
「……なんで和華さんが洗い物を?」
普段、私は家事にはノータッチだから、珍しい姿だと思ったのだろう。
太助くんは聞きながら台所に近づいてきて、コップ一杯の水を飲む。
「光圀さんは酔い潰れて寝てしまったから暇だし……洗い物もしない嫁だって、後から楓子さんにネチネチ言われても嫌だしね」
「先生が酔い潰れた?」
「うん。伊織さんも始めて見たって言ってた」