因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました

 妻と弟子が傷つけられたと聞いて、穏やかではいられなかった。

 愛する和華はもちろんのこと、太助も大切な存在だ。

「肉体的に傷つけたわけではありません。ただ、とくに和華さんは今、不安な夜を過ごしていると思います。ですから申し訳ないと……。それから、和華さんの言った通り醍醐先生はこれっぽっちもあなたを裏切らなかった。完全に私の負けだということも、お伝えください」

 彼女の言い分から察するに、空木先生は俺が和華を裏切るだろうというような妄言を吹き込んだらしい。

 そして、和華はそれを突っぱねた。……俺を信じてくれたんだな。

 胸に深い安堵が広がると同時に、彼女への愛おしさが募る。

 何度も電話がかかってきていたのは、俺の口から真実を聞いて安心したかったのだろう。

 そうとわかれば、ますます急いで連絡しなければ。

「承知しました。しかし、男女関係はゲームやスポーツではない。勝ち負けを決めるのは無意味ですので、あなたの負けだと言う文言を和華に伝えるつもりはありません。悪しからず」

 俺はそう言い残したのを最後に、パーティー会場をあとにした。

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