因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「どんな想像をしたのか知らないが、俺は潔白だよ。空木先生とはなにもない」
『えっ?』
「先生とはパーティー会場で一緒だっただけだ。ま、きみが慌ててしまうのも無理はない。空木先生も今は反省していてきみや太助に謝りたいそうだが、彼女に色々と吹き込まれたそうだな。和華はそれでも俺を信じてくれたんだろう?」
電話の向こうで、和華が沈黙する。
空木先生の話に、事実と違う部分があるのだろうか。
怪訝に思いながら彼女の返答に耳を澄ませる。
『……違います。私、全然口だけで』
頼りなく掠れた声で、和華が呟いた。
「口だけ?」
『空木先生の前では強がってみましたけど、光圀さんがいない夜をひとりで過ごしていると、段々弱気になって、信じる気持ちも折れちゃって……だから、光圀さんからの電話に出るのも怖くて躊躇しました。もしかしたら、空木先生が電話口に出るんじゃないかって』
「和華……」
俺は思わず窓の方へ手を伸ばし、冷たいガラスに触れた。
今すぐ彼女に触れて、抱きしめて、安心させてやれないのがもどかしい。