因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました

「光圀くん、鏡あるかな?」
「鏡……いや、それより早く冷やさないと」

 動揺と混乱、それに彼女への申し訳なさで胸が潰れそうだったが、俺は和華の手を引いて外の手水鉢のところまで連れて行った。

 ふたりでそこにしゃがみ込み、自分で患部の見えない和華に変わり、手のひらで水を掬って、彼女の額を濡らす。

 しかし一向に赤みは引かないうえ、傷は徐々に水ぶくれになってくる。

 泣きたいような気持で、水を掬っては彼女の火傷を冷やす、その作業を繰り返していた時だった。

「お帰りなさいませ、先生」

 門の方で、楓子さんの声がした。父が帰ってきたのだ。

 自分が未熟なせいでこんなことになって、父にも申し訳ない。しかし、今さらなにもなかったことにできない。

 父にすべてを話し、とにかく彼女を病院へ連れて行ってもらおう。

 覚悟を決めて立ち上がったその時、しゃがんだままの和華が、俺の手を掴んだ。

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