因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました

 それから数日。俺は和華の火傷の具合と、それから彼女がいまどんな顔をして店に立っているのかを確認したくて、学校帰りに一式問屋に足を向けた。

 見舞いのつもりで買った小さな花束を手に、賑やかな商店街を重い足取りで歩く。

 その途中、和華と同じ中学の制服に身を包んだ男女が前から歩いてきて、すれ違いざまに彼らの会話が聞こえた。

「想像してたより痛そうだったね」
「ああ。女なのに顔に火傷するなんてな」

 思わずぴたりと足を止めて、ふたりの中学生を凝視する。

 彼らは俺の視線には気づかず、鏡のように自分たちの姿がよく映る、大きなショーウィンドウの前で足を止める。

「兵吾なら、私の顔にあれくらいの傷があってもお嫁にもらってくれるよね?」
「どーしようかなぁ。正直、一式の傷はエイリアンみたいだったからな~」

 彼らは和華の友達で、どうやらカップルでもあるようだ。

 呑気な調子で男が呟くと、隣の女子がぺしっとその頭をはたく。

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