因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「それ、絶対に本人の前では言わないでよ! 和華、他の男子にも似たようなこと言われて落ち込んでたんだからね。火傷の跡、完全には消えないみたいだし……」
「……ごめん」
「私に謝っててもしょうがないでしょ。もう、兵吾ってデリカシーがあるんだかないんだか」
女子はツンとして先を歩きだし、兵吾という男が慌てて彼女を追い、その手を取った。
彼らは言い合いを続けながらも、恋人特有の甘酸っぱい空気を醸し出している。たとえ中学生でも、本気でお互いに恋をしているのだろう。
遠ざかる彼らの背中を眺めながら、和華に対する罪悪感がますます成長していくのを感じた。
彼らの話が本当なら、和華は俺が負わせた火傷を同級生の男子にからかわれたらしい。
その中に、和華が想いを寄せる相手がいないとも限らない。年頃の彼女が心に負った傷は、どれほどだっただろう。
そして、完全に消えない火傷の跡は、いつまでも彼女の心に影を落とし続けるに違いない。
思わず力を籠めた手の中で、花束の包装紙がクシャリと音を立てる。