因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
自問自答しながら、小さな一室で一色さんと向かい合う。彼は肩をすぼめながら店の経営難について話し、時折額の汗をハンカチで拭った。
経営難に陥った原因は、駅のそばにできたショッピングモールに、若い女性が好みそうな香の専門店が入っていて、客がそちらに流れてしまったせいらしかった。
一色さんはノートパソコンでその店のホームページを見せてくれたが、日本古来の香文化を伝えたいというよりは、香を流行りもののファッションのように扱っている。
そちらはそちらで需要があるのだろうが、そのせいで一式問屋のような歴史と実績のある店が途絶えるのは勿体ない。
一式さんは古物商の資格も有しているため、良質な掘り出し物との香木と巡り合えることも多くある。
この店がなくなるのは、香道家の俺にとっても痛手である。
そしてなにより……俺は、和華の助けになりたかった。
「わかりました。一式問屋に出資しましょう。必要であれば、経営の立て直しに強いコンサルタントも紹介します」
「えっ……いいんですか、そんな易々と」