因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
赤ちゃん、なかななか来てくれないんだよね……。
手の中にある一枚の短冊を見つめ、ため息をつく。光圀さんとは毎日のように愛し合っているのに、毎月しっかり生理がやってくる。先月くらいから、その度に落ち込むようになっていた。
と、その時、ガラッと食堂の窓が開いた。
「先生、お世継ぎはまだかしら」
「奥様に妊娠の兆候はなさそうよね」
思わず壁に背中を張り付け、気配を殺した。
食堂にいる家政婦の誰かが、私たち夫婦の噂をしているようだ。
「そうみたいね……。和華さんの体に問題があるんじゃないかしら?」
私の胸にぐさりと刺さるひと言を放ったのは、楓子さんだ。
他人の彼女にとやかく言われる筋合いはないと思いつつ、私自身が不安になっていたことなので、胸がやけにざわつく。
「でも、奥様はまだお若いわよね」
「若くても不妊の方はいるわ。疑いがあるならさっさと病院で検査をしてもらって、子どもが作れない体なら離婚していただかないと」
冷酷にも思える楓子さんの言葉を聞き、指先から血の気が引いていく。
彼女はきっと、あの家訓を知っているのだ。